異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
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グローバル環境において「気が利く」ということはつまり、「相手と自分の文化の違いを理解して、みなが心地よく良いパフォーマンスを出せる環境を作り出す」こと
ひとりひとりに個性がある。そして、他文化の人々と働くときは、出身地によって各人の性格を決めつけるべきではないこともたしかだ。けれども、だからといって文化的コンテクストを学ぶ必要がないということにはならない
各メンバーの国・文化的背景と個々人の気質を理解・尊重して、その上でパフォーマンスを出せるように行動することがとても大事。グローバル環境以外でも、同じような働き方を強制するやりかたでは長期的には破綻するのだよな。
① コミュニケーション…ローコンテクスト vs ハイコンテクスト
② 評価…直接的なネガティブ・フィードバック vs 間接的なネガティブ・フィードバック
③ 説得…原理優先 vs 応用優先
④ リード…平等主義 vs 階層主義
⑤ 決断…合意志向 vs トップダウン式
⑥ 信頼…タスクベース vs 関係ベース
⑦ 見解の相違…対立型 vs 対立回避型
⑧ スケジューリング…直線的な時間 vs 柔軟な時間
国や文化によって違いがある、というのはなんとなく知っていたけど個々の項目として落とし込まれるとなるほど、となる。
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各文化には幅があり、各個人はその幅のなかで選択を行う。 文化か個人の性格かではなく、 文化と個人の性格 が問題なのである。
これはその通りだなあ。文化によって傾向はあるけど、個人個人で度合いは当然変わるよね。
コミュニケーション…ローコンテクスト vs ハイコンテクスト
まずこれから伝える内容を伝え、それから内容を伝え、最後に、伝えた内容を伝えよう」これが一言で言えばローコンテクストなコミュニケーションの哲学だ。
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評価…直接的なネガティブ・フィードバック vs 間接的なネガティブ・フィードバック
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説得…原理優先 vs 応用優先
原理優先の思考法(ときに演繹的思考とも呼ばれる)は、結論や事実を一般的原理や概念から導きだす思考法
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.77). Kindle 版.
応用優先の思考法(ときに帰納的思考とも呼ばれる)は、現実世界の個別の事実を積み重ねることで普遍的な結論へと至る思考法
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.77). Kindle 版.
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※ アジア文化圏内の国は別の観点を持つのでこの図には記載されていない
アジアの人々はいわゆる「包括的な」思考パターンを持っていて、西洋の人々はいわゆる「特定的な」アプローチをとっている。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (pp.89-90). Kindle 版.
。西洋の哲学や宗教に通底する考え方として、ある事物を環境から取り出して個別に分析できるという考え方がある
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.95). Kindle 版.
中国の宗教や哲学は、反対に、古くから相互のつながりや関わり合いに重きを置いている。かつての中国の思想は包括的で、場が行動に影響を与えていると信じられていた
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.96). Kindle 版.
中国人はマクロからミクロへと考えるが、西洋人はミクロからマクロへと考える。たとえば、住所を書くときも、中国人は省、市、区、地名、番地と書く。西洋人は正反対に書く──家の番地から始めて、それから市や州へと続けていくんだ。同じように、中国人は名字を先に書くが、西洋人は名前から書く。中国人は年、月、日と書くが、これも西洋人は反対に書く。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.96). Kindle 版.
長年の疑問が解消されたぞ!住所や氏名、日付の書き方がなんで違うんだろうなあと思っていたけど、こういう背景があったのだなあ。めちゃおもしろい。
リード…平等主義 vs 階層主義
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決断…合意志向 vs トップダウン式
アメリカはその型を逸脱し、平等主義的な精神を持ちながらトップダウン式の意思決定へのアプローチをする。ひとりの人間が──主に責任者が──グループ全体を代表してすばやく決断を下す
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.138). Kindle 版.
Decision: 合意に基づく文化圏内の決断。全員の意見を聞くため意思決定に時間がかかるが、一度決断が下されると実行は迅速。
decision: トップダウン式の文化圏内の決断。意思決定の権利は個人に委ねられていて、決断は素早く下される。しかしそれぞれの決断は変更可能。
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信頼…タスクベース vs 関係ベース
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「認知的信頼(cognitivetrust)」と「感情的信頼(affectivetrust)」の違いだ。認知的信頼は相手の業績や、技術や、確実性に対する確信に基づいている。頭から来る信頼だと言っていい。この信頼の多くは、ビジネス上のやり取りを通して形成される。一緒に働くなかで、あなたは自分の仕事を全うし、その仕事を通して自分は頼りがいがあり、働きやすく、一貫性があり、知的で、裏表がないことを示す。その結果、私はあなたを信頼する。感情的信頼は、反対に、親密さや、共感や、友情といった感情から形成される。心から来る信頼だと言っていい。共に笑い、打ち解け合い、互いに個人的なレベルで付き合うことで、あなたへの愛情や共感が生まれ、あなたもまた私にそのような感情を抱いていると感じる。その結果、私はあなたを信頼する。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (pp.162-163). Kindle 版.
、アメリカやスイスといった国々では「仕事は仕事」であり、中国やブラジルのような国々では「仕事は人」なのである。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.165). Kindle 版.
見解の相違…対立型 vs 対立回避型
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アップグレードする言葉とは、意見を強める言葉で、「間違いなく」や「まったく」や「とても」といった言葉が該当する。こうした言葉は対立型の文化でよく使われる。反対に、対立回避型の文化ではダウングレードする言葉、たとえば「とも言える」、「多少」、「若干」、「部分的に」といった言葉が使われることが多い。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.216). Kindle 版.
スケジューリング…直線的な時間 vs 柔軟な時間
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「単一的時間」(モノクロニック)と「多元的時間」(ポリクロニック)
モノクロニックな文化圏は時間を触れることのできる、具体的なものだと考えている。「われわれは時間について、節約する、使う、浪費する、失う、工面する、のろのろ進む、つぶす、残り少ない、などという。こういう比喩的表現が何を意味するか、まじめに考えてみるべきである。モノクロニックな時間によるスケジュールは、生活に秩序を与える分類体系として用いられる。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.229). Kindle 版.
ポリクロニックな文化圏は時間という概念や、人との関わりや、取引の完遂に対して柔軟な考えを持っている。「ひとと会う約束はそれほど重大なものとは考えられず、その結果しばしば破られる。(中略)時間は直線的な帯あるいは道としてよりも、むしろ点として考えられがちである。
エリン・メイヤー,田岡恵. 異文化理解力 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 (Japanese Edition) (p.229). Kindle 版.
いやあ、面白かった。今まさにグローバルなチームにいる身としては非常に参考になった。これを読むまで、北米とヨーロッパの違いってほとんど意識したことがなかったけど、こんなに違うんだなあ。世界を見る解像度がまた上がってしまった。